博士の就活が大変だと聞いたんですけど…実際にツライ思いをした人の声が聴いてみたい…
就活に苦しんだ人の話を聞いて、しっかり対策したいです!
今回はこのような意見に応えましょう!
私は博士卒業後に大手精密機器メーカーに就職し、今は研究開発職として勤務しています。
しかしながら、実は就活で大変苦しい思いをし、うつ寸前の状態になりました。
ただ、はじめに言っておきますと、ちょっと私のケースは特殊かもしれません。
「面接におちまくって、全然内定がとれなくてツライ…」というパターンではなく
選考がはじまる前に「うまくいかなかったらどうしよう」という未来への強い不安感によって精神的に落ち込んでいくパターンです。
珍しいパターンかもしれませんが誰かの役に立つかもしれないと思ったので、当時を振り返りつつ、反省とアドバイスをつづりたいと思います。
では行きましょう!
今回の記事は、就活当時の私自身が精神的につらかった時の話を含みます。
それを了承いただいたうえで読まれてください。
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うつ寸前の状態になるまでの経緯
D2春から就活開始|スタートダッシュはよかった
私はD2の4月から就活準備をスタートしました。
具体的にはアカリクやOfferBoxなどのスカウトサイトでプロフィールを100%埋め、オファーを待つ準備をしました。
修士時代の就活でスカウトサイトがかなり役立つことを知っていたので、早めにプロフィールだけでも埋めておこうと思いました
>>理系の修士・博士学生が逆求人就活サイトでスカウトをもらう6つのポイント
これらのプロフィールを埋める過程で、自己分析も進めました。
自分の人生を振り返ってモチベーショングラフを作成したりAnalyzeU+のような無料の自己診断ツールで自分の強みや適性を整理していきました。
アカリクは研究に関する記入項目も豊富なので、これを埋める過程で後の選考で役立つ研究アピールのひな型ができていましたね。
早めに準備を始められて、スタートダッシュはかなり良かったと思います
第1志望は早い段階で固まった
スカウトサイトを早く埋めていたおかげで、7月にとある企業から人事と研究部長との3者面談オファーが入りました。
それまでその企業は視野に入っていなかったのですが、面談をきっかけに興味を持ち、第一志望となったのです。
向こうからのスカウトにかなりの手ごたえを感じており、結構サクッと決まるかな~とかなり楽観していました。
第1志望のインターン参加で安心しきってしまう
別の興味があった企業のサマーインターンに応募したのですが残念ながら落ちてしまいました。
その後、10月頃に第1志望のインターン開催案内がきて、飛びついて参加申し込みをした結果、今度は通りました。
約1週間ほどのプロジェクト型インターンですが、unistyleなどの口コミによると参加者限定の選考ルートを紹介されるらしく、結構選考に有利になるだろうと感じていました。
その後インターンシップ参加を経て、第1志望は本選考もイケるだろうと、正直かなり安心しきっていましたね。
一度就活から離れてしまい就活モードに戻れない
第1志望の手応えに完全に安心しきっていた私は、9月から11月頃まで、就活への気持ちがやや切れてしまいました。
第1志望のイベントは毎回参加していましたが、それ以外については業界セミナーや合同説明会、博士限定イベントにぽつぽつ参加するくらいで、研究に精を出していました。
身近に同期がほぼいなかったこともあり、なかなか就活ムードにも戻れませんでした。
企業分析は第1志望以外ほとんど手を付けていない状態だったのですが、ざっくり志望業界は固まっていたのでまぁ行けるだろうと踏んでいたいのです。
ここから徐々に雲行きが怪しくなってきます…
後輩の就活姿に一気に焦りを感じはじめる
1月となり年が明けた頃、1月末に提出〆切の第1志望のエントリーシートをぼちぼち作成しはじめました。
はじめは、インターンシップのESを強化すればいいだろうくらいに軽く考えていました。
ただ、いざ取り組みはじめると、なかなか筆が進みません。
それもそのはず、本選考とインターンシップのESは記入項目が全然違ったのです。
過去レポサイトで調べれば簡単に分かることなのに…これは完全に失態でした。
少しずつ焦りが出てきました。
ちょうどその頃、修士の後輩女子が就活ツールを駆使し、主体的にOB訪問や企業分析をしている姿を見て、不安感がどんどん膨らんでいったのを覚えています。
「あれ…修士の後輩があんなに就活してる…オレ、大丈夫…?」
「博士って修士よりも就活が厳しいって色んな記事で読んだよな…」
「なのに、本命企業のES対策すらまともにできてない…いや、やばくないか…?」
いったんやばい状況に気づいたら、もう私の小心者精神が咲き乱れ、一気に不安感に駆り立てられていきました。
第2志望群以下の企業調べがほぼできていない現状に気づく
この段階で、ようやく、ことの重大性に気づきました。
「あれ、オレって第1志望以外、何も準備していなくね?」
「そもそも第1志望もただインターンシップ行っただけで、内定が確定したわけじゃないよな…」
第2志望群以下の企業しらベが何もできておらず、そもそも第1志望以外で行きたい企業の候補すらリストアップしていなかったのです。
時はすでに1月中旬です
手あたり次第、業界で思い浮かぶ企業の求人をチェックし、マイナビやリクナビで急いでプレエントリーしていきました。
またアカリクやwakate等でも、志望業界の企業説明会案内が来たら参加登録をしていきました。
後輩に就活ツールやコツを教えてもらい、ビズリーチキャンパスなどでOB訪問もやり始めました。
ようやく本気で情報を集めるようになったのです。
「第1志望が落ちたらホントにやばい」不安感で追い込まれる
色々プレエントリーするなかで、多くの企業で第1回説明会が終わっていることに気づきました。
多くの企業では説明会を2~3回の時期に分けて開催しており、私はその第1回目をことごとく逃していたのです。
今思えば、別に2回目の説明会に参加すればいいだけの話なのですが…
当時は本気になるのが遅すぎた後悔の念が強く、乗り遅れてしまったという自責の念に駆られていました
一方、第1志望のESはこうした自責の念もありますし、博士としてのプライドや完璧主義も相まって
「修士より高いレベルに仕上げなきゃ。こんなんで通るはずがない」
と書いては消して書いては消しての繰り返し。
納得するESが全然できる見通しが立たない中で、リミットだけが刻々と迫ってきます。
「第2志望軍が固まっていない現状で、第1志望が落ちたらホントに後がない」
「でも頼みの綱である第1志望のESも全然進まない」
どんどん追い込まれていったのでした。
忙しさと不安がピークになり、うつ状態寸前に
第1志望のES、第2志望群以下の説明会参加、OB訪問…
これらを全て並行して就活を進める私の不安と忙しさはやがてピークを迎えました。
「もうだめだ…このESが頼みの綱なのに…間に合う気がしない…」
そうして、私はうつ寸前の状態にまで落ち込んでくことなります。
一日中、不定期な不安感に襲われ、朝起きると涙が出てくることも。
Youtubeではつらい人に向けた動画をすがるように眺めていました。
うつ寸前の状態から脱するまで
人に頼り始める
そんな日が数日続き、ようやくそこで私は、「人に頼ろう」と思いました。
まず大学のキャリアセンターの就活アドバイザーにES相談を申し込みました。
いくつかの就活エージェントにも登録し、ESが書けないなどの不安感を相談したり、エージェント主催のマッチングイベントに参加したりもしました。
当時すでに結婚していて、妻にも不安感を打ち明けましたし、両親にもツライきもちを吐露しました。
学部、修士の後輩たちにも、ツライんよなぁ、と軽く弱さをさらけましたし、他ラボの同期にも吐きました。
これまでと同じように強がっていたら、多分ホントに限界がくると直観的に感じていたのでしょう。
色んな人に不安感や就活の相談をするようになっていました。
>>【就活がつらい人へ】うつ寸前の私が人を頼って心が楽になった話
今できることだけに集中
当時は、この不安感からの逃れ方を知りたくて、いろんな本や動画を見ていました。
いろんなところで、将来への不安感が強い人は『今ここに集中すること』と紹介されていました。
また、できない自分、精神的に弱っている自分をも受け入れ、抱きしめよ、と書かれていました。
「どれだけ悩もうが、結局今できることは、ESを書いて添削してもらって修正しながら、少しずつ前進するしかないんだ」
「完璧じゃなくていいんだ、それが自分なんだ、大丈夫大丈夫」
と自分につぶやきながら、ES準備やOB訪問などの就活準備を進めていきました。
メンタルによい習慣を継続
同時に、脳科学の本も参考にしながら、メンタルに良い習慣も始めました。
たとえば1日30分ほどのジョギングや、睡眠をしっかりとる、太陽の陽を浴びる、健康的な食事をとる、人と話すなどなど。
不安感が強くなったら、外に出て散歩しながらマインドフルネスもしていました。
(頬を伝う風、道をける足裏、呼吸、腕を振る感覚など自分の感覚を感じながらの散歩)
ESはぎりぎり完成、怒涛の就活を必死に過ごす
『完璧を求めず、今ココに集中』を地道に継続し、〆切ぎりぎりにESが提出できました。
この段階で自分の不安感はいったん少し軽くなりました。
それでもまだ心から安堵はできません。
ここからも第2志望群以下の説明会、企業分析、OB訪問、ESづくりなど超過密スケジュールで、かなりの不安感と向き合いながら日々を過ごしていました。
ひとつESができれば効率が上がってきた
ただ第1志望ESで志望動機やガクチカ、研究概要は仕上がっていたので、第2志望群以下のES作成効率はかなり上がりました。
私の場合、第2志望企業群も第1志望と概ね同じ業界だったので、転用がきいたのです
第1志望の時の教訓を生かし、unistyleなどのES過去レポサイトを活用して、ES受け付け開始前から作成し始めるようにしていました。
>>【8つの用途別に紹介】大学院生(修士・博士)におススメの就活サービスまとめ
第1志望の面談で少し自信がついた
第1志望の選考が2月から始まりました。
事前の対策として、unistyleやで面接内容や確認しながら質問回答リストを作成したり
就活アドバイザーに模擬面接をしてもらったり
就職エージェントに面接のポイントを質問したりするなど、思いつく限りでできることはやりました。
もちろんここでも、『完璧じゃなくていい、とにかく今できることに集中』の意識でした
第1志望の1次面談をおえると、少しまた気が楽になりましたね。
思ったよりもうまく喋れたこと、明るい雰囲気だったこともありますし、なにより「面接を無事終えれた」ことにちょっとした自信ができたのです。
ESや面接の場数を踏むごとに不安は徐々に減っていった
その後、一足遅れて別の企業の1次面談や他社のES提出をこなしていくにつれて、徐々に不安感は減っていきました。
なにごとも1度経験しているのとしていないのでは、かなり大きいなぁとつくづく感じます
そして第1志望の1次面接通過が分かったとき、だいぶ気が楽になったことを覚えています。
その後も第2志望以下の企業分析、ES、面談と並行して、第1志望の2次面談にむけた準備(質問対応、スライド修正)を進めていきました。
3月中旬に第1志望の内々定が確定し、ようやく一息つくことができました。
同時に、不安感もなくなっていました。
アドバイス
就活準備はとにかく早くスタート
とにかく博士は早く就活準備をスタートしましょう。
理由はシンプル、研究で忙しくて就活に割ける時間が限られているからです。
また、博士は修士とは違い、政府の定める就活ルールが適用されず、企業によっては早期選考もあります。
自分の志望業界、企業の例年の動向を早めに押さえ、計画的な就活を心がけてください!
>>博士の就活はいつから?何から始める?博士の就活時期や注意点を徹底解説
スカウトサイトは早い時期に複数登録しておく
私の実体験からも、スカウトサイトは利用するべきです。
最初にプロフィールを埋めさえすれば、待っているだけでマッチ率の高い企業からオファーがくるのです。
就活に時間をかけられないけど、でも専門性とマッチする企業とは出会いたい博士学生と、非常に相性がよいサービスだと思います。
スカウトサイトは複数を併用することをオススメします。
サイトごとの登録企業の業界や職種の偏りをカバーし、優良企業とであうチャンスを増やすためです。
たまに利用サイト数が多すぎると希望企業以外のオファーが来すぎてめんどくさいというデメリットを見ますが、これは解釈の問題です。
むしろ私は、こんな企業があるんだと、スカウトで視野が拡がるメリットを感じました。
そもそもスカウトサイトを使っていなかったら専門性を活かせる企業を発掘するところから始まり、そのうえで相手企業が自分に興味を持たないリスクもあるのです。
初めから自分に興味があることが分かっている企業とサクッと出会えている時点ではるかに時間を節約できている点を見過ごしてはいけません!
>>理系の修士・博士学生がスカウト就活サイトを使うメリットとデメリット
本命企業の短期インターンに参加
可能なら第1志望のインターンシップ、とくに数週間程度の短期のモノに参加することをオススメします。
短期インターンが、本選考が有利になるメリットを最もコスパよく享受できる可能性が高いからです。
インターンに参加すると、企業によって一次面談カットなど、参加者限定の選考ルートを案内してくれます。
志望企業の選考がインターンシップで有利に働くかどうかは、unistyleなどで口コミに書かれていることが多いので参考にしてみて下さい。
>>【博士のインターン事情】就活に有利?何社受けるべき?探し方も紹介!
第1志望の前に第2志望以下のES、面接で実地訓練
私は本命企業のESや選考を一番最初に受けることになったために、不安感がより強くなったと言えます。
可能なら、第1志望の前に第2志望以下の企業のESや面接で場数を踏むことをおススメします。
1度でも経験をしていると、かなり安心感をもって本命に挑むことができるでしょう。
早めに人に頼りまくる
私は人に頼るのが遅すぎました。1番の原因は博士としてのプライドです。
研究でいつもリードしている後輩に相談することを無意識のうちに避けていました。
また、キャリアアドバイザーやエージェントももっと早く活用しておけば良かったと後悔しました。
とくに完璧主義の人は、ESや研究概要について第三者のフィードバックをもらうべきです。
自分だけで進めても判断軸がないので、私のように必要以上に修正を繰り返すことになります。
その点、とくに就活のプロであるアドバイザーに頼れば、的確な助言をくれるので効率よく対策することが可能となります。
>>複数併用すべし!エージェントを使って就活を成功させる5つのコツ
修士の後輩と一緒に就活する
就活モードに切り替えさせるために、後輩と一緒に就活することをオススメします。
博士は同期が少ない分、自力で気持ちを就活モードに切り替えることはなかなか容易なことではありません。
また、私のように一度気持ちが緩んだあとに就活を再開することも至難の業です。
そこで予め修士の後輩と一緒にやろうと決めておくことで、外部環境によって強制的に気持ちを切り替えさせるのです。
後輩と一緒にやると情報交換やES・面接対策も相談できるので、一石二鳥です!
第2志望群以下も早い時期に固めておく
声を大にして言います。第2志望以下も早い時期に固めてください。
ざっくり業界の企業を把握しておく、みたいなフワッとしたものじゃなく、本命企業と同じ真剣度で。
なるべく早時時期に「あとはESを提出するだけでOK状態にしておく」ぐらいの気積もりで準備をしてください!
さもないと、わたしのように後になってめちゃくちゃ大変なことになります!
最後に
修士と博士の両方で就活をした私の経験を踏まえると、博士の就活のほうがしんどかったです。
私の場合はとくに『博士』という肩書のせいで、自分に変なプレッシャーをかけてしまいました。
加えて、博士としてのプライドや完璧主義の性も相まって、もっともっとと、自分をどんどん追い込んでいったことが主な要因です。
しかしこの経験を経て、自らの弱みさらけ出すこと、ありのままの自分を受け入れることが少しずつできるようになりました。
一方で、まだまだその難しさも感じていますが…
そのおかげで、これまでより少しだけ生きやすくなっています。
弱みを見せたことで後輩が私に親近感をもてるようにもなったらしく、それまで以上に研究の相談をしに来てくれるようになりました。
ぜひ私のお話を反面教師にして、就活に励んでください。
ただし、くれぐれも無理はしないように。健康あっての就活ですからね。
別に一度失敗したって人生、何度でもトライ出来ます。
皆さんの健闘を祈っています。
以上です。長文にお付き合いいただきありがとうございました!
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