ストレート修了率27%!博士号のすごさと難しさ【博士の価値】

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博士課程

博士号のすごさって何ですか…?修士と何がちがうん?

博士ってどれくらい難しいの?留年も多いって聞くけど…

今回は、こんな声にお応えします!

大学でラボに入った人や、研究者を目指す人は、博士号のすごさや価値について気になるところですよね。

日本企業では修士卒でも企業で研究職になれますし、一体博士号って何がすごいのか。

また、博士課程は修了がむずかしくて留年もよくあるって聞きますよね。

今回の記事は、博士号のすごさと修了の難易度について、あらゆるデータや記事、そして私自身の経験をまえながら徹底的に解説します!

この記事は以下のような人に役立つ話となっています。

この記事が役に立つ人
  • 博士号のすごさや修了難易度を知りたい人
  • 博士課程の留年の実態について知りたい人
  • 博士課程を修了する方法やその後のキャリアを知りたい人
  • D進か就職を悩んでいる人

この記事を書くのは、旧帝大で博士(工学)を取得し、現在は大手メーカー研究職のわたし、ただなおです!私の経験や実際に周囲の先生たちから聞いた話も盛り込んでいきます!

では行きましょう!

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博士号とは最高の学位

博士号は何ぞやという人のために、最初に言っておきましょう。

博士号は現在取得できる中で最高の学位です。これ以上の学位はありません。

多くの大学生が4年間通って取得するのが学士号、大学院の修士課程(博士前期課程)で取得できるのが修士号。

そして、大学院博士課程(博士後期課程)を修了して得られる最後の学位が博士号です。

博士号は研究で世界に新しい発見を生み出した証であり、高い専門性や研究能力を有する証でもあり、そして世界に通用する研究者としての証明です。

博士課程に通う 学生はたったの2.6%

大学に通う学生のうち博士課程の学生は一体どれくらいいるのでしょうか。

令和5年度学校基本統計によれば、日本の大学の全在学生のうち博士課程に通う学生は2.6%

さらに同データによると、令和5年における修士学生の博士課程進学率(D進率)は10.1%

そもそも博士課程に進む選択をする人が稀少だということが分かります。

研究者の中でも博士号持ちは少ない!?

日本では修士卒でも研究職になれるという話をよく聞きます。

国内企業における博士号取得者の割合を調べてみました。

下に文部科学省のデータを調べた結果をまとめています。

所属博士号取得者数(所属研究者に占める割合)
大学等13.9万人(60.4%)
公的機関1.7万人(47.8%)
非営利団体0.3万人(36%)
企業2.5万人(4.2%)
18.4万人(21.1%)
参照:文部科学省NISTEP「科学技術指標2023」

日本の全研究者のうち博士号取得者は21.1%。研究者の中でも5人に1人です。

大学に所属する研究者の中では60.4%、国の公的研究機関では47.8%と比較的多め。

大学や公的機関ではざっくり半数が博士号持ち。まぁ、これはイメージ通りかもしれません。

一方で、企業の研究者の中では博士はたったの4.2%

企業の研究職においては博士号はとても希少性が高いということが分かります。

肌感的には、私の会社でもたしかにこれくらいですね…

博士しか拓けないキャリアがある

博士号の凄さは、博士号を持っていないと拓けないキャリアがあるという点にもあります。

博士号取得者のキャリアパスには、以下のようなものが挙げられます。

博士号取得者のキャリア代表例
  • 民間企業
  • 大学の教員
  • 公的研究機関
  • 大学発ベンチャー

中には博士号を持っていないとなれない職種もあるのです。

一つずつ見ていきましょう。

博士修了後の就活が不安でD進を悩んでいる人へ

博士の採用総数はたしかに修士学生よりも小さいです。

が!大切なのは、自分の専門とする分野・業界の採用状況がどうなのかです!

漠然と不安になってるのなら、まずは分野の採用状況を調べてみましょう。

具体的な調べ方は下の記事を参考にしてみて下さい。

民間企業

まずは、当然ですが民間企業は博士人材が歩む代表的なキャリアですね。

とくに博士課程までで養った高い専門性や研究力を活かして研究職として働くケースが多いです。

修士卒でも研究職になれる人ももちろんいます。

ですが博士の場合、修士人材よりも即戦力としての活躍が期待されるのです。

>>企業が求める博士像とは?博士が就活でアピールするべき6つの強み

大学の教員

博士号を取得すると、教授や准教授、助教など、大学の教員としてのキャリアパスが拓けます。

大学教員や次の公的研究機関は、民間企業でのキャリアに対して「アカデミックキャリア」といわれたりもします。

企業よりも長期的で挑戦的な研究を行い、日本の未来を支える科学技術を生み出す仕事です。

修士卒で大学教員になることは稀で、ほとんどの場合、博士号が必須となります。

公的研究機関

博士号取得者は、国営や独立法人系などの公的研究機関の研究者としてのキャリアパスも拓けます。

たとえば、独立行政法人理化学研究所の研究員採用ページを見ると募集要項には以下の記載が見られます。

博士号を取得した方、もしくは採用日までに博士号取得見込みの方

このように、公的研究機関では博士号をもっていないと就けない研究員ポストがあるのです。

大学発ベンチャー

引用:経済産業省「令和5年度大学発ベンチャー実態等調査の結果を取りまとめました(速報)

博士号取得者の中には大学ベンチャーの研究員や経営層として活躍する人もいます。

経済産業省によれば、大学ベンチャー数は年々増加しており、従業員に占める博士号持ちの割合は一般企業の研究職よりも高くなっています

上図で大学発ベンチャーの定義別にみると、とくに技術移転ベンチャーや教職員等ベンチャーにて博士号の割合が高くなっています。

大学発ベンチャーでは博士人材が積極的に活用されていることがうかがえます。

海外では博士号がないと相手にされない

海外の研究者には、博士号を持っていないと相手にされないということをよく見聞きします。

私自身、ホントだろうかと思い、院生時代に大学の先生達に聞いて回りました。

例えば、もともと修士卒で大手材料メーカー研究職として働いていた助教さんのお話。

コラボした海外研究者と議論するのは主に博士号持ちの同僚

プロジェクトに対する自分の業務の影響範囲も小さく、自分が手駒のように感じた経験をされたそう。

それを機に会社員をやめ、博士号を取りに大学院に戻り、そのままアカデミックキャリアに進んだそうです。

また元々修士卒で企業研究職になった複数の教授陣も似たような話をしてくれました。

大手海外企業の研究者は当たり前のように博士。向こうもはっきりとは口に出さないが、対等に扱われていない感じがして悔しい思いをした。だから論文をたくさん書き、その後博士号を取得した」

海外企業における博士号の重要性は、こちらの日経クロステックの記事も参考になると思います。

海外で著名な企業では、博士号を持っていないと面接すらしてもらえないこともあるようです。

世界では日本以上に「研究者= 博士号取得者」という風潮があることがうかがえます。

博士課程は留年が多い!?

博士課程はストレートあれば3年で修了できます。が、留年も多いと耳にします。

実際に、ストレートで博士課程を修了できる人は実際どれくらいいるのか。

政府統計e-Statの学校基本調査を参考に、修士課程と併せて調べてみました。

博士課程と修士課程のストレート修了率(全専攻分野)

まず理系・文系問わず、全専攻分野をまとめたデータを見てみましょう。

修了課程
(全専攻分野)
R5年度ストレート修了者数入学者総数ストレート修了者 割合
博士課程4,050人14,659人
R2年度入学
27.6%
修士課程64,541人74,325人
R3年度入学
86.8%
参考:学校基本調査 令和5年度、令和2年度、令和3年度のデータを基に作成

学校基本調査によると、令和5年度に博士課程を3年で修了した人数は4050人。

この人たちが博士課程に入学した令和2年度の入学者総数は14659人。

つまり、 博士課程を3年間でストレート修了した割合は27.6%であることがわかります。

逆に言えば、残りの72.4%が博士課程を留年もしくは中退した、ということになります。

一方、令和5年度に修士課程を2年で修了した人数は64541人。

この人たちが修士課程に入学した令和3年度の入学者総数は74325人。

つまり、修士課程を2年間でストレート修了した割合は86.8%

博士課程を修了する難易度がとても高いことがうかがえます。

博士課程と修士課程のストレート修了率(理・工・農分野)

理系分野(理・工・農)に絞って、同上の分析をしてみました。結果は下の表のとおり。

修了課程
(理・工・農)
令和5年度ストレート修了者数入学者総数ストレート修了者 割合
博士課程2,265人4,294人
R2年度入学
52.7%
修士課程39,124人43,244人
R3年度入学
90.4%
参考:学校基本調査 令和5年度、令和2年度、令和3年度のデータを基に作成

理・工・農分野になると博士のストレート修了割合は52.7%。約半数に一人ですね。

逆に言えば、残りの半数は中退か留年、ということになります。

一方、修士過程は90.4%がストレートで修了しています。

やはり、理・工・農でも博士課程のほうが修士課程よりも修了難易度は高いことがうかがえます。

そして、理・工・農分野の博士課程は約半数しかストレート修了できない現実が示唆されました。

このデータだけでも博士号を取得する難しさが分かるかと思います

博士課程を終了するには

そもそも、博士号ってどうやったら取得できるの?

博士課程を修了するまでの流れは、修士課程修了の審査とは異なるところがあります

博士号を終了するには大まかに 次の4ステップを踏まなければいけません。

博士号取得までのステップ

①学術論文の掲載

②博士論文の作成

③博論論文の審査

④公聴会

1. 学術論文の掲載

研究で成果を挙げて、筆頭著者として一般雑誌に学術論文を投稿することが博士号取得の第一歩。

修士課程とは異なり、博士課程を修了するには学術論文を執筆して掲載されなければいけないのがほとんどです。

学術論文を投稿していないと、以降の審査をうける土壌にすらあがれません。

修了要件となる論文の投稿本数は分野や研究科によって異なりますが大体1~3本

まずは、学術論文を書けるだけの成果をあげることが第一目標となります。

電気・電子分野の私の研究科では筆頭論文3本が修了要件でした

2. 博士論文の作成

ラボの教授から研究成果が博士学位に足ると判断されれば、成果を博士論文にまとめ上げます。

しかしながら、単に学術論文の内容を書きならべたらOK、ということではありません。

全ての成果を今一度整理したうえで、改めて一研究テーマとして構成や章立てを組み立てる必要があるのです。

もちろん私も経験しましたが、これがかなり骨の折れる作業になります。

3. 博士論文の審査

博士論文の内容を主査(ラボ教授)と2,3人の副査(同じ分野の別の教授)に審査してもらいます

学位論文の隅々に目を通してもらったうえで、プレゼン・口頭試問を行うのです。

ここで、研究成果の妥当性や価値、論理構成などを厳しくチェックされます。

ほとんどの場合、論文内容の改訂を求められます

そのレベルは様々ですが、大幅な修正要求をくらうこともあります。

データの追加取得や章立ての見直しを指示されると、改訂にかなり苦労します…

4. 公聴会

博士論文の改訂版が通れば、公聴会という博士研究の成果をプレゼンする催しを行います。

学内外の同分野の研究者に広く呼びかけ、彼ら一般聴講者の前で約1時間ほどプレゼンし、質疑応答するのです。

公聴会は審査というよりも、お披露目会的な意味合いが強いですが、鋭い質問が飛んでくることもあります。

入念な準備をしてディフェンス力を高めておかなければ、脇汗びっしょりになります。

あ、訂正。入念に準備しても脇汗はびしょびしょです

そして、この公聴会をクリアすれば、おおむね博士号取得は確定となるのです。

博士論文をまとめることの大変さ

博士論文は、修士論文に比べて1冊書き上げること自体に大変な労力がかかります。

というのも博士論文では、複数の成果を1つのストーリーとして整合させないといけないからです。

全データを改めて整理し、研究の総結論を導き、逆算的に研究目的やアプローチを定めなおします

そのための背景ロジックも再構築。抜け漏れないよう先行研究を改めて網羅的に調査します。

世界初の知見であることを証明するため、修士の時よりはるかに広範な背景知識と緻密な論理構成が必要なのです。

審査でもその辺りが厳しくチェックされます。

修士論文を作成するときの苦労を1とすれば、博士論文はリアルに10倍くらいの苦労感でした。

修論はM2の12月頃から2か月ほどで書き上げましたが、博論はD3の6月頃から約6か月かけて第一稿が完成しました…

学位審査の厳しさが修士課程の比じゃない

修士課程では、学術論文を出せていなくても修士論文を書ければ大抵は修了できます。

私の研究科の話にはなりますが、修士論文の審査といってもしっかり目を通すのはラボの教授くらい。

修論OKをもらえれば、あとは30分程度の修論発表に耐えればよいだけ、といっても過言じゃないです。

やばい学生は、教授がどうにかして修了させてあげるといったケースもありました…

対して博士の場合。先述の通り、まず審査自体が多段階にわたります。

とくに、主査と副査による博士論文の審査。半端なく突っ込まれます。

テーマの新規性から、目的、結論、データの妥当性、章立て、図表の体裁、などなど…

言われた指摘に対しては、逐一、修正と返答を作成します。

私は免れましたが、章立ての再構成という大幅改訂を余儀なくされた先輩がいたそう。

幾度の修正・再審査をくりかえし、公聴会を経て、ようやく学位が確定するのです。

この審査の厳しさそのものが”博士号”の重みと価値なのだと言えるでしょう。 

最後に

今回は、博士号のすごさや修了の難しさについて、徹底的にお話してきました。

博士号はよく、「足の裏の米粒」と揶揄されます。

取らないと気持ち悪いけれど、取っても飯は食えないという意味です。

たしかに今の日本では、研究をするだけなら博士号の必要性は少ないかもしれません。

世界に比べて、博士課程に対する金銭的なサポートや博士号取得の見返りも「うーん…」ですしね。

とはいえ、その稀少性と価値は世界で通用するもの。研究者として自分の中での確固たる自信につながります。

なにより、自分の知的好奇心のままに好きなだけ研究に打ち込めた日々は、私にとって何事にも代えがたい至福の時間でした。

>>【D進か就職か】泣くほど悩んだ末に凡人が博士課程に進学した3つの理由

博士課程への進学を考えている人は、博士課程の楽しさと厳しさ、ぜひともいろんな先輩から話を聞いてみてください。

私のブログでも進路や就活に関する情報を載せていますので、ぜひ参考くださいね!

ではでは以上になります。

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