こんにちは、小心者ハカセのただなおです。
私は大学院で博士号を取得しメーカーの研究職として入社した後、1年目の秋に子供を授かり、2年目の春に生まれることになりました。
ずっと待ちわびていた子供だったのでとてもうれしく、ぜひとも長期の育休を取りたいと思っていました。
ただ、所属部署の中で数か月の長期育休をとった人がいないうえに、私以外みなさん40歳以上の男性で、半数以上が男性の育休がめずらしい時代を生きてこられた50歳台の方々、という環境でした。
なので、長期の育休希望をチームに打ち明けるまで、
周りから白い目でみられるんじゃないだろうか…
新人同然の自分が育休取得って、ただでさえ人手不足なのに…うしろめたいなぁ…
と漠然とした不安を感じていましたが、最終的に、子供が生まれてからすぐ3か月間の育休を取得しました。
日本の高齢化はますます進んでいます。
業界や分野にもよるでしょうが国内メーカーの研究開発職となると、自分とメンバーの歳がかなり離れている、みたいな若手が結構いるのではないかと思います。
そんななかで子供が出来た時、私が抱えていた気持ちと同じような不安を抱く方々が、きっと今後も出てくるのではないでしょうか。
統計的には、男性の育休取得者は増えているらしいですが、あまり実感ないですよねぇ
この記事では、そんな不安を抱えながらも育休取得に踏み切った私の思いを書こうと思います。
この記事で、育休取得になやむ若手研究者の背中を少しでも押すことができたら嬉しいです。
入社2年目のメーカー研究職の私が、3か月間の育休を取得することを決めた4つの理由
まずは結論から
最初に結論を言っておきましょう。
1つずつ説明します!
理由①赤ちゃん期は二度と戻ってこない
子供の誕生は家族の新しい船出
ちょっとしょっぱなから大きいことを言いますが、、、
私は人生で家族と過ごす時間や経験を最も大事にしたいと思っています。
仕事も自分の趣味ももちろん大切ですが、それよりも家族を大事にしたいです。
これから述べていくことは、この価値観が色濃く反映されていると思いますので、大前提として先に書いておきました。
とは言いつつも、周りの評価を気にしてしまう小心者マインドのせいで仕事を優先してしまうことも多々あるのですが…こうありたいと願っています。
『子供の誕生』は家族の一大イベント。
これまで大人2人だけだった家族が、これからは3人で新たに歩みだそうとするわけです。
そんな家族にとっての新たな船出は、やっぱりどうしても仕事よりも家族とできるかぎり共に過ごしたい、と強く思いました。
「気づいたら大きくなってた」は絶対イヤ
妊娠が分かってから、多くの方から「赤ちゃんの成長スピードはとてつもなく速い」と聞いていました。
調べてみると、赤ちゃんの成長率はざっくり下図のようになるそうで、身長の伸び率は生まれた直後に最も高く、その後も4歳くらいまでぐんぐんと高い成長率で大きくなっていくようです。
生まれたばかりの赤ちゃんの身長は約50cmだったのが、1歳までに生まれたときの身長の1/2(約25cm)伸びて約75cm、2歳から4歳までの2年間に年間約12cmずつ伸び、4歳になるころには、生まれたときの身長の2倍になるとか。
また、赤ちゃんは身体だけでなく脳の発達も著しく、日に日にできることが増えていくようです。
最初はじっとねんねや泣くばかりだった赤ちゃんが、手足をばたつかせてうーと声を発するようになったり
真顔ばかりだったのに色んな表情が見れるようになったり
人見知りが始まったり
寝返りし、お座りし、立てるようになったり、などなど。
これを知った私は、どんなささいなことでも、日々の子供のわずかな成長を自分の目で見たいし、それを家族みんなで喜び分かち合いたいと強く思いました。
子供の成長を動画でしか見れない状況や、「気づけば成長していた」みたいなことになるのはやっぱり嫌でした
「子供が成長して大きくなってから、『どんな風に成長したのかなぁ、その瞬間をみとどけたかったなぁ』と思っても、子供の赤ちゃん時代は二度と戻ってこない」と改めて認識し、そのような後悔はしたくないと思いました。
理由②妻と協力して育児をしたい
産後の女性のワンオペ育児は過酷すぎる
出産後の体力が戻っていない内から育児が始まる妻の負担を少しでも軽くしたいという思いもありました。
というのも、子育ての大変さや女性の産後うつ問題などは妊娠前から何となく耳にしていたからです。
加えて、妻が妊娠してから本やYoutubeなどをよく見るようになり、出産直後の女性のカラダの変化やワンオペ育児の壮絶さを目の当たりにし、一人じゃ絶対無理だろうという思いはさらに強くなりました。
産後の女性のカラダは、出産時の傷の痛みや骨盤のゆがみ、ホルモンバランスの乱れなど、とても疲れている状態です。
産後の骨盤は、交通事故にあったレベルでゆがんでいるそう。
そのため産後約1か月は安静に過ごし、しっかりと睡眠をとって体を回復させることが理想といわれています。
が、実際には、数時間ごとにおむつ替えや授乳をしなければならず、そもそもまとまった睡眠はロクにとれません。
加えて日々の家事もあるとなれば、もはやひと休みする暇さえありません。
また、初産の場合だと、初めてで分からないことだらけで女性は大きな不安を感じますし、そこにホルモンバランスの乱れも重なり、精神的に不安定になりやすくなっています。
加えて、睡眠不足で脳の働きもにぶり、感情のコントロールも普段より難しくなっている状態です。
こんな状態でずっと一人で赤ちゃんと向き合いつづけるとなると、産後うつになってもおかしくないと感じました。
このように、産後の女性の状況とワンオペ育児の大変さを深く理解したことで、出生日から育休を取り、妻の負担を少しでも軽くしたいと思うに至りました。
理由③未知の「子育て」なるものに全力で向き合いたい
「子育て」に対する好奇心
赤ちゃんとのふれあいは、これまで自分の人生で体験したことがありません。
Youtubeで多くの育児動画を見たとはいえ、動画だけでは計り知れない出来事がたくさん待ち構えているのだろうと確信していました。
これからの赤ちゃんがいる生活、どんなことがおこるのだろうかと考えただけでワクワクが止まりませんでした。
「未知の体験」に心躍るのは研究者の性分に通ずるところがあるかもしれません。
全力で育児をしたい
そして私は、何でも”自分で”体験したいという思いが強く、育児の大変さ、面白さ、つらさ、嬉しさなど、全てをひっくるめて自分の五感をもって感じ、楽しみたいと思っていました。
例えば仕事の研究でも、最近は立場上色んな人に実験オペレーションをやってもらい自分は結果を集約するだけということも多くなってきて、どうにも手ごたえをあまり感じないのです。
やっぱり、学生の時のように、自分の手で作って自分の目で観察したほうが何倍も楽しかったなぁと、ボンヤリと思っていたばかりでした。
このまま仕事を継続すれば平日の夜と土日しか育児と向き合えなくなるわけで、やはりそれは自分にとってはイヤでした。
どうせやるなら、育休をとって飽きるくらい長い時間一緒に過ごし、全力で子育てを楽しみたいとおもうに至った訳です。
理由④育休中も手取り額はほぼ変わらない
育休を取るにあたり、収入がどれくらい減るのか、は重要なことでした。
色々と調べた結果、結論、育休中でも育休前の手取りの8割がもらえることが分かりました。
そのからくりは、下記4点です。
- 育休開始後180日目まで育児休業給付金で給料の67%がもらえる
(181日目以降は50%) - 育児休業給付金は非課税
- 育休中の社会保険料が免除される
- (条件を満たせば)育休中のボーナスの社会保険料も免除される
額面の収入は通常の給料の67%と一見減少しているように見えますが、社会保険料免除のおかげで手取りベースで考えるとざっくり8割になります。
ちなみに4点目の、ボーナスにかかる社会保険料免除の条件は、「ボーナス月の月末を含んで、1ヶ月超の育休を取ること」になります。
私の場合、ボーナス月末をまたぐように3か月の育休を取りました
給付金の受け取りには
- 1歳未満の子を養育するために育休を取得した、雇用保険の被保険者であること
- 育休開始日前2年間で賃金支払基礎日数が11日以上の月が12か月以上あること
等の条件がありますので注意してください
いずれにしても8割ももらえるということを理解し、収入面の心配はほぼなくなりました!
育休を悩む方へのアドバイアス
出来るだけ早く上司に相談
自分の中で育休を取る気持ちは、上記の4つの理由でほぼ固まりました。
とはいうものの、やはり、2年目でまだまだ仕事がおぼつかないうちに育休を取ることにためらいを感じていました。
ただ、まだ起きていないことをあれこれ悩んでもしょうがない割り切って、妊娠5か月の安定期に入ったたすぐに上司と職場OJTに相談しました。
上司は前例のない3か月という長さに少々驚いていたようですが、意外とあっさり了承してくれました。
結果的に、周りの目を過剰に気にしてしまう私自身の性分が、不安を勝手に駆り立てていただけでした。
冷静に考えれば、いまどきの上司はハラスメントに敏感!?
結局、育休取得に対する不安な気持ちは、自身が勝手につくり上げた妄想に過ぎなかったわけですが、よくよく考えれば、いまどきの上司は、ハラスメント防止研修を受講しているケースが多く、むしろ若手社員以上にハラスメントに敏感な場合も少なくないでしょう。
育休をとりたいと申し出た際に否定的なことを言った場合、その上司はマタニティハラスメント(マタハラ)言動をしたとして処罰の対象となり得ます。
とりわけ、そこそこの規模のメーカーとなれば研修制度も整っているでしょうから、多くの上司は育休に理解を示してくれる可能性が高いと個人的には思います。
はやめはやめに引き継ぎ作業を実施
とはいうものの、「育休とるので、あとはよろしくお願いします」ではさすがにマズイことは言わずもがな。
早め早めに上司やOJTと相談しながら、育休中に本来なら私が担当するはずだった業務を洗い出してメンバーに引継ぎ依頼をしつつ、極力メンバーに負担を掛けないように業務計画資料を作り、引き継いでいきました。
育休中の業務はメンバー任せにすることなく、育休に入るまで誠意をもって自分の役割を果たし、キチンと引き継ぎをきちんとしたことで、先輩の皆さん、快く育休を応援してくれました!
具体的にどのように引継ぎ準備をしたかを知りたい方は、下の記事を参照ください。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
育休取得は法律でちゃんと認められている制度です。
周りに何と思われようが、育休を取りたいと思ったら堂々と職場に打ち明けたらいいと思います。
それに対してメンバーがどんなリアクションをするかは相手の課題であり、こちらでコントロールできることではありません。
私がまさにそうでしたが、こちらがコントロールできないことを考えて考えて不安に思うだけ自分が消耗してしまいます。
仮に育休に否定的な言動をされた場合は、堂々とマタハラを主張すればよいのです。
それもまた制度で定められた権利です。
ただ私自身が心に深く刻んでいることは、自分の育休をサポートしてくれる職場メンバーへの感謝を忘れてはいけないということです。
感謝を忘れず、いつか他のメンバーが育休を取るときは、自ら進んでアドバイスし、積極的にサポートしていきたいと思っています。
さて、人生は一度きりです。
皆さん一人一人が後悔のない人生を送れるよう祈っています。
この記事で、育休をためらう若手社員さんの背中を少しでもおすことができたら嬉しいです。
以上です。ありがとうございました!
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