研究職志望なんですけど、『研究職はやめとけ』とよくいわれるのはなぜでしょうか…?気になります…
研究職って激務なんでしょうか…
今回は、こんな声にお応えします。
ネットではよく『研究職はやめておけ』という意見が書かれています。
私自身、OB訪問等で先輩研究者から直接いわれることも結構ありました。
研究職って、結構ホワイトなイメージですよね。
高給もらいながら面白い研究ができて、面倒な人間関係もあまりない。ノルマにもおわれず、残業も少ない…etc
なのに「研究職はあかん」と言われると、就活生が「なんで?」となるのは当然です。
ただ、実際に大手精密機器メーカーの研究職として働くなかで、なんとなくその真意がわかってきました。
今回は、私の実体験もふまえながら『研究職はやめておけ』といわれる理由を中心に解説したいと思います。
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『研究職はやめておけ』のフレーズが出回るのはなぜか
そもそも、なんで『研究職はやめとけ』というフレーズが世の中に出回ってるのか。
これ、実際に研究職になって分かりました。答えは…
「学生が思ってるほど研究職では甘い蜜を吸えないぜ」
という、実際に働く研究者からの忠告です。
つまり「入社前に憧れていた働き方、業務とは違った」とギャップを感じる先輩研究職が多いのです。
先輩や同僚の研究職何人かに、ギャップを感じる理由をインタビューして聞いたところ…
大体似たような回答が返ってきました。ここからはその理由を紹介します!
研究職として就職した私自身も、私の同期も、入社前後で少なからず似たようなギャップを感じていました
『研究職はやめとけ』と言われる理由
入社前後のギャップ…気になる…
ここから、私の実体験や周りの研究者にインタビューして見えてきた、その真意を紹介します
結論、この5つに集約されます。
1. 研究以外の業務が多い
企業では研究以外の業務が多く、思ってるよりも研究時間が確保できません。
研修、職場の定例会議、定期的な1on1面談、装置メンテ・管理、打ち合わせ、職場改善活動、安全活動…等々
これらのチリツモで、研究に割ける時間はどんどん削がれます。
研究に効率を求める結果、技能員さんの手を借りて、実験や評価をしてもらうことも多くなります。
すると自分は結果だけを吸い上げて、その後の計画を考えることに専念せざるを得なくなることも多々あります。
学生さんの中には、自分で装置を動かしてサンプル合成や評価をすることが好きな人も多いでしょう。
私なんかは実験技術の上達を実感できることも研究を楽しいと感じた理由の1つでした
「企業でも自分で沢山実験するぞー」と思って入社した人ほど、なかなか自分で実験できないもどかしさを感じるでしょう。
そんな企業の研究をオモシロくないと感じ、研究職はやめとけというのでしょう。
2. 自分の意向だけで研究できるわけではない
企業の研究では関わる人が格段に増えます。
同じプロジェクトのチームメンバーはもちろん、実験や評価を依頼する社内の実験課の方もいます。
社外との共同研究の場合は、社外の研究者ともかかわるでしょう。
なので、企業では人と協力したり、依頼したり、請け負ったりしながら研究業務をすることになります。
まず、対人関係に苦手意識のある人は企業の研究職は少々ツライと感じるかもしれませんね。
また、自分の業務にかかわる人が増えると何がおこるかというと、研究を業務を進めるために、逐一メンバーの合意をとらないといけなくなります。
これは私自身、学生時代と企業での研究の大きな違いだと感じました。
関わるのが自分と教授ぐらいだった学生時代の研究では、思い付きアイディアをすぐ試すことができました。
後から振り返って、無駄だったなと思える実験や、全く生かされないデータになることもしょっちゅうでしたね
しかし、企業では目指すゴールが明確にあるうえに、多くの人がワンチームとなって研究プロジェクトを進めます。
そのため、なにか実験検証したいとおもったら、事前に計画を立ててその正当性をメンバーに論理的に説明して、合意を得て、ようやく実験に取り掛かることができるのです。
手戻りはお金は時間コストの無駄遣いになるため、思い付きの実験はなかなか受け入れられがたいのです
人によってはこのような企業ならではの研究の進め方をストレスに感じてしまい、「研究したいなら企業はやめとけ」となるのです。
3. 人間関係を構築する必要がある
企業ではお金と人的コストをかけてスピード感を重視した研究がおこなわれます。
上でみたようにかかわる人数は想像以上に多く、必然的に人間関係を構築することが重要になってきます。
例えば、社内の実験課に業務を依頼したり、共同研究で社外の方に実験や評価を依頼したりするときなんかは、人間関係が浅いと非常にストレスがかかります。
仕事をスムーズに進めていくためには、否が応でも、コミュニケーションをとって人間関係を深めていかなければならないのです。
また、研究の世界は想像以上に人間関係が狭く、よく見る顔ぶれと仕事をすることが結構おおくあります。
長い付き合いになりやすい以上は、”良好な関係”を維持する努力も必要になります。
そもそも人とコミュニケーションをとることが苦手な人や、苦手な人とも人間関係を持たないといけないのがツライ人にとってはなかなか大変なことです。
『一人黙々と実験をこなしながら、ゆっくりでも着実に成果を挙げていく』
こんなイメージをもって入社した人は人間関係のわずらわしさにストレスを感じ「研究職はやめとけ」というのかもしれません。
3. 会社の意向で研究テーマが変わりやすい
企業の研究では、会社の意向によって研究プロジェクトに予算がつかず、テーマが急に消滅することもあります。
その結果、全く畑違いの研究テーマに部署移動することもあります。
これまでかけてきた労力もむなしく、上の意向でテーマが消滅するのはなかなか解せない点もあります。
自分の得意分野を深めてキャリアを築こうと考えている人にとっては、おおきな不満がたまることでしょう。
そんな人はひとつの会社にこだわらずに、専門性を活かせる他社や大学の様なアカデミック界に転職するなど、自分でキャリアを築いていく姿勢が重要です。
4. 他職種への転職が難しい
研究職として身につくスキルや専門的な知識・技術は他職種に転用しづらいものです。
研究成果として代表的な特許や論文なども、研究職や技術職と全く異なる職種に転職する際はあまりアピールになりません。
また同じ研究職だとしても、全くの他分野をやりたい場合も、なかなか採用してもらうことは難しくなります。
やはり研究職の方は似たような特定の分野のなかで転職をするケースが多くなります。
ゆえに研究職が他の職種に転職するのはなかなか難しく、これも研究職はやめとけと言われる理由の一つになります。
とはいいつつも、ニーズのある専門分野であれは、高い専門性はむしろ市場価値は高く、引く手数多で転職活動もスムーズにできるでしょう。
研究職のメリット、魅力
とはいいつつも、やはり研究職にもメリット、魅力はたくさんありますので、ここで紹介したいと思います。
私が思う研究職の魅力、メリットは下記3つです。
- 最先端の技術開発ができる
- 残業時間をコントロールしやすい
- 研究職の市場価値は高い
最先端の技術開発ができる
やはり研究職の魅力は、最先端の技術を研究開発できることだと思います。
世界でまだだれも達成できていない技術、まだだれも思いついていない新しいコンセプト。
こうした未知のモノを今まさに自分が創り出そうとしてるワクワク感や、世界の最先端に立てている喜び、その道中でくすぐられる知的好奇心は研究職ならではの醍醐味です。
また自分が研究する技術で社会問題を解決できるかもしれない、そんな熱い思いを抱きながら打ち込めるのも研究職の魅力です。
残業時間をコントロールしやすい
研究職は比較的残業時間をコントロールしやすい職種なのも魅力のひとつです。
というのも、研究職は数年以上の長期の計画の下で仕事をすすめることがほとんどです。
お客様への納品がある職種ではないので、厳しい納期が課せられることもほぼありません。
一次的な遅れがあっても長期的に挽回できる見通しがあって、きちんと説明できるなら、残業を強いられることはありません。
計画性をもっていさえすれば、自分のペースで研究業務を進められるのは研究職の魅力の一つと言えるでしょう。
研究職の市場価値は高い
他職種への転用が効きづらいとはいえ、研究職は専門性の高い職種であり、研究職としての転職であれば市場価値は高いと思います。
というのも、多くの企業にとって、長期的な発展のためには研究が重要であり、研究職の需要がなくなることはないからです。
もちろん、全くの専門分野外への転職は厳しいですが、自分の専門性やスキルを活かした転職であれば成功確率は高いと言えるでしょう。
実際、ビズリーチなどの転職サイトに登録すると類似業界から多くのスカウトオファー連絡が届きました
志望企業ではどうなのか、事前の情報収集が大事
ここまで、『研究職はやめとけ』と言われる理由をいろいろと見てきましたが、当然全ての企業でそうだとはいいません。
企業によってや研究の進め方は変わるでしょうし、組織風土が変われば働く人の意見も変わってくるでしょう。
とすれば、やはり重要になってくるのは『自分が志望する企業でどうなのか』という視点です。
就活では気になる企業の情報は積極的に集めに行きましょう。
>>【理系の就活】研究職内定者が行った業界・企業分析の方法7選!
入社前後のギャップなどは、就活会議のような口コミサイトにも掲載されていますし、OB訪問をすれば生の声で聞くことができます。
私のおススメは、学会で志望企業の研究者とつながり、個人的にお話を伺う機会をゲットすることです。
自分が勤める可能性の高い職場で実際に働く研究者から話を聞けるので、より現実的で耳寄りな情報を得られる可能性が高いです。
>>【学会の人脈は最強】博士の就活を成功に導く人脈を学会でつくる7つの方法
研究職に求められる資質とは?
それでは研究職を目指す人に求められる資質とは何でしょうか。
私自身が博士卒後に研究職として2年働い、とくに、課題設定力、コミュニケーション力、周りに頼る力、この3つが重要と実感しました。
できるだけ手戻りがなく、目標達成に効果的なアプローチを考えるためには、何が課題なのかを適切に捉えることが重要です。
課題が的外れだと、立てた計画も実際に行った実験も、後になって全く使い物にならなかった、ということになりかねません。
また、プロジェクトの目標達成を目指すには、チームのメンバーと日常的にコミュニケーションをとりながら進めることが欠かせません。
さらにスピードが求められる企業の研究では、自分一人では時間的にも知識的にもどうしても追いつきません。
自分一人で抱え込むと、キャパオーバーになりがちです
社内外の人とうまくコミュニケーションを図り、臨機応変に頼ることで効率的かつ効果的に研究業務を進めることができるでしょう。
>>【入社1年目】企業研究職のツライこと4選!備えていると強い資質も紹介!
まとめ
この記事では、なぜ研究職はやめとけと言われるのか、その理由について紹介しました。
私がおもうに、以下の5つの理由が考えられます。
とはいうものの、研究職には、最先端の研究ができたり、残業時間がコントロールしやすかったり、研究職は基、本市場価値が高く研究職としての転職成功可能性は高いなどのメリットがあることも紹介しました。
ただし、こうした事情は企業によって異なるものです。
研究職志望の学生さんは、自分の志望業界や志望企業ではどうなのか、事前の情報収集が重要になります。
この記事ではその点もお話ししました。
ぜひとも就活ではネットだけではなく、積極的に人とあり、リアルな声を取りに行ってください!
以上です。
この記事が悩める学生さんに、少しで役に立てば幸いです。
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