こんにちは。小心者ハカセのただなおです。
論文が難しくて読めない…時間がかかりすぎる…
雑誌会で初めて論文紹介するんだけど、何を意識して読めばいいんでしょうか…
今回は、こんな悩みをもつ学生さんに向けた記事です!
大学の研究室に配属されると教授から「論文をたくさん読め」といわれますが、最初はなかなか難しく、理解できないですよね。
私も、初めて論文を熟読したのが雑誌会(論文紹介、ジャーナルクラブ)の準備の時。
専門知識も読み方の要領もわからず、めちゃくちゃ苦労しました。
で、修士課程の半ばになって、それなりにスラスラ論文を読めるようになって気づきました。
「あ、論文読解ってコツがあるわ」と。
正直、もっと早くこのコツを知りたかった…
今回は、論文を理解できない学生さんに向けて、論文が読めるようになるコツを紹介します!
この記事を書く私ただなおは、現メーカー研究職の博士(工学)です。The平凡だった私が博士卒までに数百本読んでつかんだ「論文読解のコツ」を紹介します!
では行きましょう!
論文を読めるようになる7つのコツ
さて、論文読解のコツ。結論は以下の通り。
1. 論文を読む目的をはっきりさせる
まずひとつ目、論文を読む目的をはっきりさせること。
こう書くと「は、あたりまえやろ」と思われますが、結構忘れられがちです。
なぜ目的が大切かというと、論文を読む目的によって目を通すべき箇所や順番が異なるからです。
たとえば、実験データの解析手法のヒントを得たい人と、論文紹介する目的で読む人では読み方は全然違います。
前者は、解析のモデルや切り口を意識して結果・考察を重点的に読むでしょう。
後者は、論文全体のストーリーや研究の意義などを意識して、全文に目を通すはず。
前者の人はわざわざ全体に目を通す必要はありません。時間の無駄ですよね。
論文を読む際は、「自分はこの論文から何を知りたいのか」を明確にしましょう。
2. 論文の構成を理解
2つ目。学術論文の構成(章立て)を理解しておくことです。
世の無数の論文。じつは、どれもある程度決まった構成で書かれています。
どこにどんなことが書かれているかは、どの論文でも大体おなじってこと!
論文が苦手な人の多くは、小説かのごとく論文を頭から順に読み進めようとします。
ですが、実は論文ってのは頭から読まなくても読み進めることができちゃいます。
むしろ読むのが早い人は、目的に応じて読む順番を変えたり、章を読み飛ばしたりして、効率的に理解しています。
論文の構成を理解しておくことで、メリハリある読み方ができるようになるのです。
この記事は構成を知っている前提で書きます。詳しく知りたい人は下の記事を参考ください!
>>科学論文ってどこに何が書いてるの?論文の基本構成とその内容を解説
3. 要約と結論を先に読む
3つ目。要約(Abstract)と結論(Conclusion)を先に読むべし、です。
要約と結論には、論文の概要や著者が強調したい主張が端的にまとめられています。
つまり、論文の全体像や新規性、重要性を短時間で把握できる。
で、最初にオチが分かった状態で中身を読み進めたほうが理解もはかどります。
途中で難しい話があっても、オチ先取りのおかげで議論の方向性を読み違えにくくなるからです。
ほら、本とか映画でも要約動画を先に見てから本編見ると、小難しいところがあっても、オチが分かってるからスッと理解できるじゃないですか。あれです。
私としては、「要約→結論→背景→実験手法(最後でもOK)→結果・考察」の順で読むことをおススメします。
論文紹介とかが目的ならこの順です。が、順番も目的によって変わります。たとえば最新論文の定期チェックは、要約と結果の図をバーッと見るだけ。専門分野で周辺知識があるからそこだけ読めば新規性が分かるんです
4. 論文の「エッセンス抽出」を意識する
雑誌会の準備をしてる後輩に
論文読んでるときって、何を意識して読んでますか?
ってよく聞かれました。私はいつも「エッセンスの抽出」って答えてました。
ここでいうエッセンス抽出とは、『論文の骨子+新規性+貢献』を自分の言葉で要約することです。
簡単に言えば、下のフォーマットを穴埋めするかんじ。
このフォーマットでいう【研究背景】~【結論】が論文の骨子。これは論文の章立てそのものです。
私は論文を読むときは、余白に各骨子を簡潔にメモしながら読んでいました。
最後の2つ【新規性】と【貢献】は、とくに雑誌会の時に意識していました。
こんな感じで↓
「この研究って何が新しいんやろ…手法?見出した知見?なんや?」
「この研究の成果って何が嬉しいんやろ…どんなことが進歩するんや?」
雑誌会でよく聞かれがちな「その研究って何がすごいの?」っていう質問。
新規性(=独自性)と貢献(=社会的・学術的意義)で答えてあげれば一発で納得してもらえます。
このエッセンス抽出ができると、雑誌会で炎上することはほぼなくなります
>>100回見てわかった雑誌会(論文紹介)で炎上する6つの特徴と対策
5. 背景知識は日本語でインプット
分野に詳しくないうちは、専門的な知識や背景は日本語で身につけるほうが効率的です。
具体的には以下の3つの方法がおススメ。
先輩の卒論・修論・博論を読みこむ
自分のテーマの背景や周辺の専門知識をつけるにはうってつけの教材です。
いきなり海外のよくわからん英語論文で勉強しても頭を抱えるだけ。
直属の先輩の卒論・修論を数冊読むほうが圧倒的に効率的です。
日本語の学術論文を読みこむ
同様に、同じ分野であれば、日本語の学術論文で周辺知識を肉付けしたほうが効率的です。
英語でよくわからん研究でも、日本語の論文なら背景や知識を効率的にインプットできます。
日本語の論文検索は、J-STAGEがおススメです。
私は今でも、他分野の論文を読む際は、まず日本語の論文ないかな~って探して、数本サーっと目を通してから英語論文にいってます
専門用語はいったん日本語でググる
よくわからん専門用語はいったん和訳して日本語でググってみるのも良いかと。
大抵それっぽい日本語の記事や文献がヒットします。
日本語で読んでインプットしながら英語論文を読み進めていきましょう。
あまりに理解できない専門知識があれば、サクッと先輩に聞くのが早いです
6. 翻訳ツールを使いこなす
ラボ配属間もない学生や、英語に不慣れな学生は、積極的に翻訳ツールを使うことをおススメします。
よく、英語のままに読むべきかどうか論争を目にしますが、正直どっちでもよいです。
あくまで目的は論文を理解すること。理解できるなら英語でも日本語でもどっちゃでも。
(たしかに同じ訳でも、ニュアンスが微妙に違う英語表現もあるんですがね…”考えられる”の表現とかね…まぁでもそんな致命傷にはならないので)
ただし、これらのツールも、専門用語の訳はまだまだおかしくなりがちです。
英文やバラグラフのなんとなくの意味をつかむため、として使うのがよいと思う。
7. 1周で理解しようとしない
論文は1周での完全理解を目指さない、という意識も大切です。
とくに専門知識がまだ浅い、ラボ配属間もないB4の学生とか。
1周目からわからんところ全部理解しようとしてたら、知識のお勉強に時間がとられすぎます。
一番大事な「論文のストーリー」が頭から飛んでしまい非効率です。
なので論文を理解するには、複数回読むことを前提するのがおススメ。
私は、以下のとおり、複数回読む中でエッセンス抽出と、知識のお勉強を分ける方法をおススメします。
1周目は、エッセンス抽出に全力を注ぎます。
わからんところは、最低限の英単語訳、専門知識だけリサーチしていきます。
さらに小難しいモデルとか理論、計算式、実験手法などは、なんのためにそれをやったのか「目的」だけ把握して、詳しいことはすっ飛ばし。
2週目以降で、分からなかったところを参考文献などを読みながらつぶします。
私はエッセンス抽出と、知識のお勉強を分けることで、効率的に論文を読み進められるようになりました!
まとめ
さて、今回の記事では私の経験から見出した、論文を読めるようになるためのコツをお話してきました。
最後におさらい。
もし、他にもこんなところに気を付けたらいいよ~って意見があれば、ぜひコメントください!
では、以上です。
今回の記事が、悩める学生さんに少しでも役立てば幸いです!
コメント