100回見てわかった雑誌会(論文紹介)で炎上する6つの特徴と対策

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研究

雑誌会こわすぎ…先輩が炎上してるの見て、自分の回に震えています…

一度炎上してつらい思いをしました。次からはどうしたらいいんでしょうか…

今回はこんな声にお応えします!

研究室に所属する学生さんの中には、雑誌会(論文紹介)の恐怖に震える人、非常に多いと思います。

雑誌会はラボによっては、ジャーナルクラブ、ゼミ、輪講などと呼ばれます。

担当者が適当な論文を選んでラボメンバーに内容をプレゼンする、勉強会みたいなものです

とくに配属間もない学生さんは、先輩の炎上姿をまざまざと見せつけられ

「うわぁぁ怖すぎ…自分も大炎上する未来、確定ですやん」

となるんですよね。

今回は、博士修了まで発表10回以上、聴講100回以上、雑誌会を体験してきた私の経験をもとに

この記事で分かること
  • 雑誌会(論文紹介)で炎上する人の特徴
  • 雑誌会(論文紹介)で炎上しないためにやること

を紹介していきたいと思います。では行きましょう!

私も当初はよく炎上したものですが、徐々に要領をつかみ、修士以降は燃えることは少なくなりました!以降は後輩にも『燃えない雑誌会』の指導をしていました!ぜひ参考ください

炎上する発表の特徴

まずはどういう発表が炎上しやすいのか、その特徴を解説します。

これは私が博士を卒業するまでの計6年間、100回以上の雑誌会発表を見てきた中で分かったものです。

炎上しやすい発表の特徴をおさえて、適切に対処していきましょう!

炎上しやすい発表の特徴は下記のとおりです

炎上する発表の特徴
  1. 結果・考察を自身で理解できていない
  2. 研究の背景や目的の理解不足
  3. スライドが論文の図の貼り付けと文章の箇条書きばかり
  4. 参考文献を読めていない
  5. 専門用語・知識の下調べ不足
  6. プレゼンがぎこちない

1.結果・考察を自身で理解できていない

まず、論文の結果や考察を発表者自身が理解できていない場合、炎上しやすいです。

結果や考察について問われ「ええっと…」と詰まるのが引き金。

教授から「そもそもこの結果はどう解釈してるの?」と徐々に詰められるケースが多いですね。

チンプンカンプンな回答をすると、もう大炎上の餌食です。

結果について

  • どのような原理で計測されたのか
  • どんな目的で取得されたのか
  • 筆者がその結果をどう解釈し
  • 論文の結論とどうつながっているのか

のような、深いところまで読みこめていないと起きてしまいがちです。

あまりに理解できていない場合、「もう一度やり直して」という最悪のケースもあり得ます。

私のラボでは、3回やり直しさせられた学生がいました…見てるほうもツラかった…

2.研究の背景や目的の理解不足

似たようなケースとして、研究の背景や目的を理解しきれていない、というものもあります。

論文では目的を果たすために全ての実験、解析、考察が展開されています。

ゆえに「背景と目的の理解不足=論文の読み込み不足」の烙印をおされ、燃えちゃいます。

目的や背景を適切に理解するには、論文の「エッセンス」をいかに読み取れるかがカギ。

論文からエッセンスを抽出する方法については、下の記事を参考ください。

>>【雑誌会も怖くない】論文が読めるようになる7つのコツ

3.スライドが論文の図と文章のコピペばかり

これも結構ありましたね。

準備時間がなかったのだろうと分かるような手抜きなスライドを見た瞬間

「あ、今回は燃えるな」と悟ります(笑)

これはとくにスライドを英語で作らないといけない場合に起こりがちです。

英語で書かれているものをわざわざ自分の英語で書き直す手間がだるくて、論文の文章をそのままコピペしちゃうんですよね。

まぁ気持ちはわかります。ただ教授がそれを見過ごすわけがありませんよね。

雑誌会には、一応、教育的な側面もありますからね…

同じく、初見で理解しづらい図やグラフも、ポンチ絵もなしに論文の図だけで説明を押し通そうとしている場合

「聴講者に理解してもらおうという気ある?」

といわんばかりに、聴講者(特に教授)からガン攻めされます。

そして多くの場合、発表者もよく理解できていないために答えられず、大炎上となるのです。

4.参考文献を読めていない

参考文献を読めていないことも炎上の火種になります。

論文では、背景や実験手法、解析モデルや考察などで、よく過去の論文を引用します。

質疑応答でよくあるパターンがこちら。

「すみません、この参考論文読めていないんでわかりません」

これはすぐ燃えます。準備不足は即、突かれます(笑)

「わからないなら事前に読んで、調べておきなさい。なんのための雑誌会なの」

という教授のお叱りのお言葉を浴びることになるでしょう。

そもそも、いつも準備時間が足りないんよなぁ…って人は、以下の記事を参考ください。

>>【時間がない人必見】雑誌会準備が間に合わない人を救う裏ワザ5選

5.専門用語・知識の下調べ不足

同じく、論文で出てくる専門用語や知識を事前に調べられていないと、炎上の火種となってしまいます。

理由は同上。

雑誌会は、発表者が専門分野の理解を深めることも目的としています。

参考文献を読まずとも、ググればわかるようなことも事前に調べられていないと、

「いやいや、こういう専門知識をつけるために雑誌会してるんじゃないの」

と正論の剣で貫かれます。

もう教授からこう言われるとグウの音も出ないどころか、グヘェと逃げ出したくなります

6.プレゼンがぎこちない

プレゼンがぎこちないのも炎上しやすくなる要因のひとつです。

具体的には

  • スライドが前後に行ったり来たりする
  • 話のストーリー(論理性)が壊滅
  • スライドをめくるたびに「えーと…」と話す内容を思い出しながら話している
  • 話の途中で「あ、まちがえました」を連発する
  • 明らかに原稿を読んでるだけで、抑揚のない棒読みプレゼン

などです。

「ちゃんと発表練習した?」

「プレゼン前に一回でも通しで発表構成の確認した?」

と言いたくなってしまうような発表は、炎上濃厚です。

基本的な単位の読み間違いをして、あきれられてた人もいました…先輩に事前に確認しときましょうね

炎上しないためにやるべきこと

雑誌会で炎上しないためには、きっちりと事前準備をすることが大切です。

ここではどんなことをやれば炎上しないのか、やるべきことを紹介します。

雑誌会で炎上しないためにやるべきこと
  1. 適切な論文を選定する
  2. プレゼン資料は『相手に伝わるか』を基準につくる
  3. 論文の目的・意義と結論を明確に伝える
  4. 自分が一読してわからないことは全て調べて理解しておく
  5. 参考文献は想定質問に答えられる程度に読みこむ
  6. 通しの発表練習は最低3回行う

一つずつ説明します。

適切な論文を選定する

雑誌会では、論文の選定が超重要です。

なぜなら、自分の力量を超える文量や難易度の論文を選ぶと時間が足りず理解不十分になるから。

雑誌会に適した論文選びには”本来ならば”ある程度の経験が必要です。

しかーし朗報!

火事予防隊長@雑誌会地区のただなおは、雑誌会のための論文選定ステップを確立しております。

「火の用心」希望の人は下の記事を一読ください。

>>【雑誌会を制する】5ステップで最適な論文を選ぶ方法

プレゼン資料は『相手に伝わるか』を基準につくる

プレゼン資料を作る際は『聞いている人が理解できるか』どうかを基準にしましょう。

論文に書かれていることをツラツラと記すだけでは、聴講者はついてこれません。

これだと典型的な一方通行&自己満プレゼンです。

でも「相手の理解」を基準にすればどうでしょう?

「ポンチ絵があったほうが分かりやすいな」

「この知識は考察で必要だから前半で丁寧に説明しよう」

こんな気遣いができるようになりませんか?

相手に理解してもらうには自分が理解していないといけません。

必然的にわからないことは調べなければならなくなります。

いいですか、あなたは塾講師です。高校生に教える気持ちになりましょう。

プレゼンは聞いている人に「愛」を伝えるんだよ、プレゼントを渡すようにね。と教えてくれた先生がいました。まさにそれです。ダジャレじゃないよ。「プレゼンは愛をこめて」です。

論文の目的・意義と結論を明確に伝える

発表の際は研究の目的、意義、結論を明確に伝えましょう

目的や意義が分からないまま結果を長々と語られても

「で、このデータは結局何を言いたいがためのモノなの?」

と聴講者は理解に苦しみます。

結果的に質問攻めにあい、炎上しかねません。

目的、意義、結論はわかりやすく伝え、聴講者の理解を促しましょう。

私は発表の冒頭でこの3つを端的に述べてから、プレゼン本編に進むようにしていました!

自分が一読してわからないことは全て調べて理解しておく

「自分が論文を一読してわからないところは聴講者もわからない」と心得ておきましょう

一読して理解できないことは全てリストアップ。あとで全て調べて理解しておくのです。

で、プレゼン資料を作るときは?何を基準に作るんでしたっけ???

・・・

はい、『聞き手の理解』を基準に作るんでしたねぇ(笑)

「あ~これどうせ皆わからんやろなぁ」と思えたら、その時点であなたのプレゼン力は相当上がってます。

その気持ちを忘れないうちに、資料に説明を加えちゃいましょう!

補足スライドとして説明資料を準備をしておくのもOKですね。

雑誌会でつくった専門知識の補足スライドは、後の雑誌会や学会、卒論発表などでも使えます!そのモチベーションだと補足スライド作りにも張り合いが出ますよ!

参考文献は想定質問に答えられる程度に読みこむ

参考文献はできる限り読んでおくのがベターです。

ただ、全ての文献を完全読破することも時間的に不可能でしょう。

なので私は、想定質問に答えられるだけの情報を読み取ったらOK、としていました。

具体的にどうやるか。簡単2ステップです。

ステップ①
想定質問とその回答(いわゆる想定Q&A)リストをつくる

ステップ②
参考文献を読まないと回答できない想定Qがあれば、回答が書ける程度に文献をツマミ読みする

という具合です。

このとき参考文献を隅々まで読んではいません

目的は回答リストを作ること。だからツマミ読みでOK

この意識で参考文献を読むと、効率よく準備を進められます。

後輩にもよく「参考文献ってどこまで読めばいいんですか?」と聞かれましたが、いつも上のように答えていました

通しの発表練習は最低3回行う

スライドをつくり終えたら、通しの発表練習を最低でも3回は行いましょう。

まずは発表の流れや論理性が破綻していないか全体の構成を確認

適宜、スライドの順番を入れ替えたり追加したりします。

そのうえで原稿なしでも発表できるように、プレゼンの練習を繰り返し行いましょう。

で、私のおススメは、実際に声に出しながら練習すること。

面白いことに、なぜか声に出すと

「ここ、なーんか説明してて分かりづらいな」

「もしかしたらこの評価原理、質問されるかもな」

みたいなちょっとした違和感に気づくことが多く、スライドが精錬されていきます!

声出し練習はホントにおススメ。私は学会スライドも最終仕上げは絶対声出しでやるようにしてました

最後に

今回の記事では、雑誌会で炎上する発表の特徴と、炎上しないためにやるべきことを紹介しました。

とはいうものの、初めから全てを完璧にできることなんかありません。

経験とともに雑誌会準備の要領をつかんでいくものです。

そもそも炎上にも質があります。

やるべきことをやっていない(用語の調査不足、明らかにコピペばかりなど)ことによる炎上は然るべき結果です。

が、テンポよく質疑応答が進むなかで徐々に質問が高度化していくこともあり、これは一見詰められるように見えてしまいます。

ですがこれは炎上というよりも、むしろちゃんと論理戦を展開した結果であり、研究者として喜ぶべきことかと思います。

なので、最低限やるべきことをやっておけば過剰に炎上を怖がる必要はありません。

何事も経験です。

そういう気の持ちようで挑みましょう!

以上です。

この記事が学生さんの悩みを少しでも解消できれば幸いです。

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