皆さんこんにちは。小心者ハカセのただなおです。
私は、大学院の博士課程に通う学生だった当時、学部時代から付き合っていた彼女(現妻)と学生結婚をしました。
そして実は私は、修士1年の時に就活で大手企業に内定をいただいていましたが、結局それを蹴って博士課程に進学(D進)することに決めた経緯も持っています。
私自身おおいに悩み苦しみましたが、現妻である当時の彼女も私と同様、あるいは私以上に将来への不安を抱えていたことでしょう。
今回は、妻にインタビューして、私がD進や学生結婚に迷っている時に感じていた彼女側の気持ちや不安、実際に学生結婚をしてよかったこと、つらかったことについて赤裸々に語ってもらいました。
この記事が、D進や学生結婚という人生の大きな節目を前に悩み苦しむカップルに少しでも役に立てばうれしいです!
ではいきましょう!
ちなみに、博士学生だった当時、私が学生結婚しようと思った理由とタイミングについては下の記事にまとめていますので、気になる方はぜひこちらもチェックしてみてください。
私たち夫婦の歴史を共有
最初に、前提となるわれわれ夫婦の経歴をザっとまとめておきますね。
『彼氏が大学院生(博士課程)× 彼女が社会人』というパターンの学生結婚になります。
妻へのインタビュー内容
さてここからは妻へのインタビュー内容をお話ししていきますね。
内容は大きく3パートに分けています。
- 私がD進したいかもと言い出したときの妻の心境
- 私がD1当時、学生結婚に踏み切れないでいたときの妻の心境
- 実際に学生結婚をして妻が感じたよかった点と辛かった点
私がD進したいかもと言い出したときの妻の心境
まずは、既にM1の時点で企業から内定をもらっていた私が、M2になってからD進を悩みだしたときの話から聞いてみたいと思います。
初めて僕がD進の気持ちを話した時どう思った?
内定をもらっていたから就職するものと思っていたし、来年頃に結婚して再来年には子供もいるかもしれないという期待もあったので、正直「は、なんで?!」と思った。
一番の不安は何だった?
結婚と出産の時期が数年遅れるかもしれないことが一番不安だった。
博士課程は最低3年と聞き、就職して来年には結婚できると思い込んでいただけに、結婚は早くても4年後以降なのかととてもショックだった。
何か他に感じていた気持ちはあった?
はじめて聞いた直後はショックだったが、しばらく冷静に考えているうちに、相手の人生だから私との結婚を理由に進学を諦めてもらいたくはないという気持ちが徐々にわいてきた。
一方で、あなたも最初は「今のテーマが楽しいから続けたい」と言っていたのに、徐々に「絶対に今の研究を続けたい」という覇気を感じられなくなってきた。
話を重ねる中で「企業で全く別テーマの研究をしても結局楽しめるかも」と言い出したときは、正直ちょっとイラっとしたのを覚えてる。
だから「3年もかかるのに中途半端な気持ちなら進学してほしくないし、心から応援できない」とハッキリと口に出して伝えた。
当時、決断を先延ばしにしていましたが、彼女の素直な気持ちを聞いて「覚悟を決めよう」と進学を決意するきっかけになりました
当時から学生結婚は選択肢にあった?
「3年も待たされたくはない」という強い思いがあり、学生結婚も視野に入っていたね。
お金のことも、私に収入があったので何とかなると思っていた。
悩める大学院生(当時の僕)にしたいアドバイスは?
- 相手の意見によって進路を決めるのではなく、勇気を出して「自分がどうしたいのか」を明確にして!
- 自分の気持ちを伝えることと同じくらい相手の本音を聞きいれることも大事!
- あなたがハッキリ下した決断なら、全力で応援するよ!
進学を打ち明けられたパートナーにしたいアドバイスは?
- 世間体に気にしすぎないこと
- 自分の素直な気持ちを伝えること
- 相手の意見も受け入れること
交際相手が『学生』であることに対する世間の声を過度に気にする必要はないよってことは強く言いたいかな。
なぜなら、他人の意見はあくまでも他人の価値観であって、必ずしも自分たちにあてはまる答えだとは限らないから。
多少は参考にしても、最終的には自分たちで納得いく結論をだすんだっていう気持ちを忘れちゃいけないと思う。
また、特に彼女側が待たされる場合、学生である相手に気遣って「結婚や子供のことまで言うのは酷かな」と思ってしまいがち。
たしかに、時と場合によって言うべきことと言わなくてもいいことってあると思うけど、結婚とか子供は向き合わなければいけないことだと思う。
なぜなら、これは『2人』の関係性や人生に関わるイベントでどちらかの一存で結論が出せる問題ではないから。
そこに”学生”や”社会人”みたいな肩書きは関係ない。対等であるはず。
話し合いのゴールは論破ではなく、両者が納得いくこたえになるまですり合わせることだと思う。
だからこそ、自分の意見を投げて終わりじゃなくて、相手の意見にも真摯に耳を傾ける姿勢も大事かなって思うかな。
私がD1当時、学生結婚に踏み切れないでいたときの妻の心境
さて、その後、私ただなおは博士課程に進学しました。
ですが、自分に安定した給与がないうえに日々の研究に充足感を感じていたこともあり、結婚について考えることを遠ざけていました。
また、それを頭の片隅ではなんとなく自覚しているが故に、2人の会話で「結婚」というワードが出ることをあからさまに避けていた記憶があります。
一方で彼女はその時期に何を思っていたのか、当時の記憶を振り返ってもらいます。
私がD1になってから結婚に対する思いはどうなった?
当時は自分も仕事が楽しく休日も充実していたので、普段の生活の中で結婚を深く意識することはほとんどなかった。
でもたまに結婚の話になったときに「博士号を取ったあとかなぁ」とか「給与(DC2)が確定してからかなぁ」と歯切れの悪い話し草から、あなたも結婚に頭が回っていないと悟り「待たされるんだろうなぁ」と少しモヤモヤした気持ちになった。
結婚に踏み切れない私に対する気持ちが変化した理由は?
D1の夏ごろ「まともな給料が無いから結婚はまだ…」と弱々しい言葉を聞いて「謎のプライドで結婚を先送りにしないでほしい」と思わず口に出た。
きっと心のモヤモヤがあふれたんだと思う。
私に収入があって、お互いにいつかは結婚すると思っているこの状況で、いま結婚するのと数年後するのとで一体何が変わるというのか。
私としては、結婚が遅れるほど出産適齢期から遠ざかってしまうことも怖かった。
そんな状況で、よく考えもなく「男が家計を支えなければ」というただの男のプライドで結婚時期を遅らせようとしていることがどうしても理解できず、ほぼこのままの言葉であなたに伝えた。
この言葉はド正論すぎて、ぶっ刺さった。自分のちっぽけなプライドを自覚し、そこから学生結婚と真剣に向き合い始めました。
そもそも学生結婚に対して不安はなかったのか?お金の心配はなかった?
お金なら私に収入があったのでどうにかなると思っていた。
世の中には夫だけの収入でやり繰りしている家族はたくさんいるし、私たちはただその逆(妻が家計を支える)なだけじゃん、という思いかな。
そこに男も女もないよね、男女平等。
あと、長くても3年という期限付きだと思ってたし、仮に3年で修了できなくてもきっとどこかでケジメをつけて働き始めるだろうという信頼があった。
私も博士卒後は企業就職するつもりだったことをもともと妻に伝えていました。事前に博士学生が使うべき就活支援サービスをおおむね把握できていて、早めに準備も進めていたので、どこかには就職できるだろうと踏んでいました
>>博士の就活はいつから?何から始める?博士の就活時期や注意点を徹底解説
学生結婚に対する、友人や両親、世間の目は気にならなかったか?
全く気にならないわけじゃなかった。
でも友人は私たちの付き合の長さを分かっているし、あなたと一度でも面識のある友人なら分かってくれるだろうという思いが根底にあった。
そもそも私たちの結婚にいちゃもんつけるような友人はいないはず(笑)
両親も私たちの付き合いが真剣なことを知っているし、私もあなたも互いの両親と何度もあっていて、信頼を築けていたから何の不安もなかった。
私の両親なんて「自分たちの好きにすればいいじゃん」っていうスタンスだったね。
ネットの声は見た覚えがほとんどないから、きっと見ていたとしても「自分たちのことは自分たちで決める」っていう信念があったのだとおもう。
そもそも、自分たちの結婚なんだから友人やネットがなんて言ってようが関係ないという割り切りが大事かな。
ただその境地になかなかなれない苦しさも分かる。私も多少は気にしちゃうし。
でも、仮につらくてもたった数年のこと、結婚の形がどうであれ20年後はどうせ笑顔で暮らせてるさ、ってかんじかな。
いつも妻のド直球の言葉が2人の歩みを進めるきっかけになっているが、なかなかできることじゃない。何か理由があるのか?
大きく3つかな。
これまでの付き合いの中であなたが私の意見を頭ごなしに否定することは一度もなかった。
あなたなら私のどんな意見も絶対受けいれてくれるだろうという信頼があったことがひとつ。
2つ目は、本音を言わずに自分の中にモヤモヤが残ることに私自身が耐えられない性格であること。
最後は、互いに本音を言わないと物事がなにも良い方向に動き出さない、という思いがあったから。
自分の思いを我慢して相手と話しても、ただすれ違いが生じるだけ。
ひとまず互いが互いの思いを主張する。意見の相違は、後からすり合わせればいいだけ!って感じかな!
実際に学生結婚をしてよかったこと&辛かったことについて
その後、私たちはD1の冬に無事婚約し、D2に入籍、同時に同棲を始めました。
ここからは実際に結婚をしてよかった点と辛かった点を妻に聞いてみます。
結婚して良かったと思える点は?
入籍してから同棲できるようになって、単純に一緒に過ごす時間が増えたのがまず嬉しかった。
あと、同棲や結婚してからじゃないとできないイベントを2人で協力して行うのも楽しかった。
毎週末の指輪選びや新居探し、家具屋さん巡りとか結婚式場選びとかね。
『私が学生だったからこそ』結婚して良かったと思える点は?
あなたが研究や就活で精神的に参っていたときに一番近くで支えてあげられたことは学生の時に結婚したからこそだと思う。
一緒に住んでいたから毎日話を聞けたし、就活シーズン、朝起きるとあなたが涙を流していて、ただならぬ状況にすぐ会社を休んだこともあったしね。
>>【ツラかった博士就活】うつ寸前になるまでの経緯と7つのアドバイス
逆に、私が仕事でいそがしく辛かった時にもたくさん支えてもらった。
毎日仕事漬けだった私に替わってあなたがほとんどの家事をやってくれたし、毎日愚痴も聞いてもらえて助かっていた。
時間に融通つけやすい学生だったからこそだったね。晩御飯の準備で早く帰らないといけない分は、朝早くにラボに行けばいいだけだし
結婚するまで見えなかった相手の本当の弱さを知り、互いに受け止め、支えあって乗り越えてこれたことが何よりうれしかった。
”彼-彼女”のステージから一気にステップアップした感じがするね。
学生結婚という少々風当たりの強い形での結婚だったからこそ、自分たちの成長を強く感じられた。
あとは、好きな旅行をシーズンずらして格安で行くことができたのも良かった(笑)
新婚旅行費用も充実のスケジュールだったのにかなり抑えられたね。
結婚してつらかったことはある?
節約志向にならざるを得なかったこと。
実家暮らしのころは、月末カツカツになることもあったくらいに何も気にせずあなたや友人と食事したり旅行したりしていた。
結婚してからは2人で協力しなければという思いが芽生えたけど、生活レベルや物欲を我慢しなきゃいけないことが最初はストレスだった。
例えば、クリスマスは毎年レストラン行って高めのプレゼントを贈りあっていたけど、結婚後は家でピザだけとか、実家はオープンキッチンだったけど新居は昭和風の対壁面キッチンとか。
でも後々、お金を掛けなくても十分な幸せを感じられるってことに気づけたんだけどね。
節約志向の僕からの節約圧もあっただろうしね…
お金の問題はどのようにクリアした?
各々が絶対お金を掛けたいところ、節約してもストレスが少ないところを話し合うようになった。
スマホはSIMフリーにしてネット代や光熱費はもちろん安さ重視、住環境にも強いこだわりはなかったから新居は家賃の安いところに引っ越したね。
あとモノじゃなくて経験にお金をかけるようになった。
昼デートもこれまでスポット観光+カフェが多かったけど、別にコーヒー持参すればいいよねってカフェはいかなくなった。
そんなかんじで固定費と交際費、食費をムリなく抑えて浮かせた分を優先度の高い旅費に充てたね。
あなたの場合は結果的に学振の給与や、奨学金返済や授業料の一部が免除になって楽になったけど、免除じゃなくてもやっていけた自信はある。
あと、話し合う中で互いの価値観をすり合わせていけたのも良かったと思うね。
家計のなかでメリハリをつけて、少ない収入の中で最大限の充実感を感じられていたと思うし、確実に今の生活にも活かされている。
なにより、そこまでお金を掛けなくても十分幸せを感じながら毎日を過ごせることに気づけたことが大きい。
足るを知るっていうマインドになれたのは、今後の人生においてもとても意義深いと思う。
お金を気にして学生結婚を踏みとどまるカップルにむけたアドバイスはある?
- お金の話し合いは『論破』じゃなくて『すりあわせ』だよ
- なるようになるから結婚する前から考えすぎなくていいよ
ってことかな。
元々物欲ない同士なら何もしなくてもお金に困ることはないし、金遣い荒い者同士ならいつか痛い目見た両者が勝手に軌道修正する必要性に気づく。
難しいのは片方だけが金遣い荒いカップル。
必然的に価値観のすり合わせが必要になるけど、この話し合いで最も大事なのは「どんな意見でもまず受け止める」ってことだと思う。
相手の意見に対して「いや…」から入ってしまうといつの間にか互いの突っつきあい大会になるから。
研究者って批判的な意見に対して反射的にゴリゴリのロジックで言い返しちゃうんすよ…それも分かってあげて…
話し合いするときは「『いいね!』から言うことにする」みたいなルールをあえて決めるのもアリだと思うよ。
いずれにしても、互いが「意見してもぜったいに否定されない」と思える雰囲気が重要だと思う。
あと、なんだかんだお金って死活問題で本当にやばい時はすり合わせざるを得なくなるから、結婚前からあまり心配しすぎる必要はないと思うよ。
インタビューは以上。妻よ、ありがとうございました!
最後に
いかがでしたでしょうか。
大学院生と社会人のカップルの場合、学生側の苦悩がクローズアップされがちですが、今回の記事では進学によって待たされるパートナー側の気持ちを聞いてみました。
思いのほか妻の記憶が鮮明で、進学する学生側の皆さんにとっては耳が痛い内容だったかもしれませんね。(私もちょっと胸が痛いですが)
もし博士卒後の進路が不安で悩んでいるカップルがいれば、私の経験も踏まえた博士の就活に役立つ情報も下の記事などで発信していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
それではこの記事は以上になります。
この記事が、かつての私たちと同じように悩むカップルの背中を少しでも押すことが出来たら、それ以上の幸せはないです。
もし、プロポーズへと歩みを進めようと思った方がいれば、下の記事も参考になると思いますので、ぜひご覧ください。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
以上になります!
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