こんにちは、小心者ハカセのただなおです。
博士の就活って、どういう失敗例があるの?
失敗しやすいところを事前に把握して、要所を押さえた就活がしたいんだけど…
今回はこのような疑問にお答えします!
おなじ大学院生といえど、修士と博士では就活の進め方やつまづきポイントが異なります。
実際私は修士と博士の両方で就活を経験し、博士ならではの失敗しやすい点があることを痛感しました。
今回の記事では私の経験も踏まえながら、博士の就活で失敗してしまう原因を話します。
また、記事の後半では失敗要因をふまえながらとくに博士が意識するべき対策もお話しします!
ではいきましょう!
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修士とは異なる?博士の就活スケジュールについて
博士学生の就活は、修士とは異なり、政府の定める就活ルールが適用されません。
博士の採用時期は企業側の自由で、基本的には採用時期は企業によって異なると理解しておきましょう。
とはいいつつも、採用時期は業界によって傾向があります。
化学・製薬業界は例年、博士対象の早期選考を行っている企業が多いです。
選考時期は年々前倒し傾向にあり、25卒については、早い企業ではD2の夏からエントリー受付を開始しています。
その他の業界では修士学生と同時期のケースが多く、D2の冬頃にエントリー開始が多いです。
博士は自分の志望業界・企業の動向にアンテナを張り、早めに動き出すことが重要となります。
>>博士の就活はいつから?何から始める?博士の就活時期や注意点を徹底解説
博士の就活で失敗してしまう要因
それでは、博士学生が就活で失敗してしまう原因にはどんなものがあるのか。
修士と博士の両方で就活をした私自身の経験も踏まえると、以下の7つが挙げられます。
ひとつずつ見ていきしょう。
1.就活準備のスタートが遅い
博士の就活で失敗するケースの多くは、就活に動き出す時期が遅すぎることによるものでしょう。
スタートが出遅れたために自己分析・企業分析が甘くなり、ESや面接で落ちてしまう。
お祈りメールばかりが届く不安と焦りで手あたり次第エントリーしまくるも、企業分析もほどほどに志望動機も深く考えられておらず、またもESで落とされる。
たまにES突破できても、面接で就活の軸がブレブレなことを見透かされ、なかなか最終面接まで進めない。
ESも短時間で作れるものではありません。そうこうしているうちに1か月、また1か月と過ぎ…いつの間にか『無い内定』状態に…(涙)
よくあるケースかと思いますが、全ての元凶は『就活を始めるのがおそすぎる』にあります。
では、なぜ博士学生が就活に出遅れてしまうのか、その原因を考えていきます。
2.研究がうまく進まない
博士の場合、就活をはじめるまでに、博士課程を修了できることがある程度見込まれていなければなりません。
というのも、せっかく内定をとれても修了できなかったら博士卒としての入社は厳しくなるからです。
博士課程の修了には基本的に学術誌への論文掲載が課せられますが、一方で博士の採用時期は早いとD2夏頃からはじまります。
つまり早い方はD2の春~夏の時点で、修了要件数以上の学術論文を投稿しているか、それ相応の結果が出ている必要があるのです。
成果が出ていない場合は、当然ですが就活よりもまずは研究で成果を挙げなくてはいけません。
研究成果の兆しが見えるまで必死に研究を頑張っているうちに時が流れ、ようやく研究が落ち着いたころにはES〆切間近になっているのです。
この『研究成果に追われて就活に出遅れてしまいやすい』点が修士の就活とは決定的に異なる点でしょう。
逆に修士卒の場合、論文ゼロ本でも学科内の審査が通れば修了できてしまうため、研究進捗によらずとも、気後れすることなく時期になれば就活を始められるのです。
修士時代、私も同期も、研究進捗の良し悪しによらずM1になれば、みな等しく就活を始めていましたが、博士は成果が出ていないと就活に踏み切れないんです
3.就活への主体性に欠ける
それなりの成果が早い時期に出ていても就活で失敗するケースもあります。
その要因の一つは『就活への主体性に欠ける』ことです。
博士は同期が少ないため、修士学生のように周りの就活ムードにつられて就活モードに切り替える、ということがなかなか難しいのです。
成果が出ている人は出ている人で、好奇心ベースで研究できるために研究にのめりこんでしまいがちです。
気づいたころにはES募集がはじまっており、慌てて就活するも準備不足で連戦連敗、ということになるのです。
友人はこのパターンに危うくハマりかけていました。
修士であれば、周りの就活ムードによって否が応でも就活に駆り立てられます。
博士は修士学生以上に主体的に就活に臨むことがよりいっそう大切なのです!
4.就活時期の研究スケジュールを甘く見積もりすぎる
就活シーズンの研究・学業スケジュールを甘く見積もりすぎてたことが原因で失敗するケースもあると思います。
就活時期であるD2~D3は、多くの博士学生にとっては研究が熟する頃合いです。
日々の実験・ゼミに加えて学会発表や論文執筆、大学によっては中間審査という学位取得に向けた一つの関門が待ち構えています。
比較的時間に余裕があるD1ではのんびりと研究を楽しんでいる人もいるでしょう(研究を楽しむことは全く構いませんよ!)
しかし、D2以降もその研究ペースが続くと思い込み、余裕風をふいて就活を後回しにしていると、就活時期になって想像以上に時間がなく、痛い目を見ることになるのです。
私が就活シーズンに多忙で鬱気味になった原因の1つがまさにコレでした。
博士学生は、就活がはじまる前にD2~D3の学会時期や学位審査時期をあらかじめ調べ、余裕を持った就活計画を立てましょう。
5.人に頼らない(頼れる人が少ない)
人に頼らない、または頼れる人がすくないことも失敗要因となり得ます。
上でもふれたとおり、博士は同期が少なく、気軽に就活相談できる人がなかなかいません。
就活情報はネットでもたくさん見れるとはいえ、大学の同期とのやりとりでしか得られない情報もあります。
修士時代、例えば学科OBのリクルーターによる説明会や大学主催イベントなど、学内のイベント情報は同期から教えてもらうことがほとんどでした(案内メールは埋もれがち)。
気軽に頼れる人が少ないと有益情報を逃したり、ES・面接も人に見てもらえなかったりと、どんどん不利になっていきます。
人を頼りづらい理由はいろいろあるでしょうが、就活で後悔しないためには後輩や大学の教員や就活アドバイザー、民間のエージェントなどになりふり構わず頼っていくことが重要です。
>>【就活がツラい人へ】うつ寸前までになった私が人を頼ってよかったと思うこと
人に頼ると、精神的に安定しやすくなるメリットもあります!
6.企業選びの視野が狭すぎる
研究分野にこだわるがあまり、企業選びの選択肢を自分で少なくしてしまい失敗するパターンもあります。
「5年かけて磨いてきた自分の専門性をいかして即戦力として働きたい」と思う学生は多いでしょう。
もちろんその気概は大事です。
第一志望として専門分野ドンピシャの企業群に応募するのは大切です。
採用ニーズが多いトレンドの専攻分野では、その希望は叶いやすいでしょう。
一方で、博士時代の研究テーマと同じ研究を行っている企業がほとんどない分野もあります。
ニッチテーマは余程の魅力や見込みがない限り、企業も大きなコストはかけられません。
そのようなニッチテーマは少人数で細々やっているケースが多く、新人を採ることも少ないです。
なのでニッチな専門性にこだわりすぎると、応募できる企業がたった数社しかないという状況になりかねません。
視野を広げてセーフティネットを張っておくしたたかさも就活には必要です。
自分の専門性はどのような企業・業界に求められるだろうかと意識的に視野を拡げ、企業選びの選択肢を増やすようにしましょう。
抽象的でわかりづらいので、一つ簡単な例を挙げますね。
例えば博士課程で、新しい材料を用いた高性能な電子デバイス開発をテーマにしていた場合:
企業選びの軸を『その新材料を用いた研究ができること』とすると、応募できる企業は数社といったところでしょう。
しかし専門性を広く捉え『薄膜作製や電子デバイス開発ができること』なら、企業の数はぐっと広がります。
さらに『プロセス開発や物性評価の知見を活かせる』ことを条件に見るなら、プロセス装置メーカーや検査装置業界も視野に入るかもしれません。
こんなかんじで自分の専門性と業界を俯瞰しながら選択肢を増やしていきましょう!
7.選考での自己アピールが学会プレゼンになってしまう
博士が選考で落ちる原因としてはこのパターンもアリがちです。
専門用語が多かったり、むずかしい図・グラフを多用していたり、技術の新規性や重要性ばかりを強調するなど。
博士は学会発表をこなしてきただけに、面接でも学会のようになってしまいがちです。
ですが、これでは面接で通ることが難しくなってしまいます。
なぜなら人事が知りたいのは研究内容よりもむしろ
- 研究課題をどう乗り越えてきたのか
- 研究を通して身に着けた能力でどのように貢献してくれるのか
- 難しい話をどれだけわかりやすく端的に伝えられるか
- 専門外の人とどれだけコミュニケーションを図れるか
という点です。
企業では、あらゆる分野の人とかかわりながら仕事を進めるので、人に合わせて柔軟にコミュニケーションを図れることは重要な要素なのです。
研究を題材にしたアピールでは、テーマの中身を理解してもらうことよりも、研究で学んだことやそれをどのように生かせるかを分かりやすく伝えることを意識しましょう。
>>博士就活の面接でよく聞かれる3つの質問とは?面接での注意点も!
博士が就活で失敗しないためにはどうしたらいいか
ここまで博士の就活が失敗してしまう要因を説明してきました。
いくつかの失敗については簡単に対策も示しました。
ここからはこれらの失敗要因をふまえ、さらにどのようなことに気を付ければ就活を納得のいく形で終わらせるのかについてお話していきます。
研究では論文のタネを複数まいておく
博士の研究では論文のネタになり得るテーマを複数走らせることを意識しましょう。
1つのテーマで芽が出なくても、他のところで芽が出れば論文は書けるからです。
博士学位論文のタイトルが変わるほどの別テーマをはしらせたり
ある目標(達成できたら論文をかける)にたどり着くためのアプローチを複数走らせたりと
ネタの規模感は大小ありますが、常に情報を集めながら、どのレベルでも複数のアイディアを持つように心がけましょう。
ここでも簡単な例を挙げますね
例えば、とある新材料Aで特性Xの優れた電子デバイスを開発する研究がテーマだったとしましょう。
複数のタネをまくとは、特性Xの向上方法としてたとえば薄膜作製条件、基板種類、基板構造という3つのアプローチを試したり
そもそもの材料をAだけでなくBとCも検討したり
特性Xじゃなくて別の重要特性Yなら向上できるかもと、別指標に着目したりする
といったようなことです。
手持ちのアイディアを複数持つためには、日ごろから論文で情報を集めることが重要。
また複数テーマを走らせるには後輩の力を借りることも必要になるでしょう。
目前の実験に没頭しつつも、他方では後輩と緊密に連携しながらマネージャーとしての俯瞰的な視点をもって研究を行っていきましょう。
もちろん指導教員や先輩とも相談して知見も借りながら、総力で進めていくことも大事です
早めに就活準備をスタートする
博士学生はできるだけ早い時期に就活準備を始めましょう。
とくに、自己分析や企業・業界分析はD1からでも実施できます。
どのような人生を生きたいのか、働く上で何を大切にしたいのか、自分の強みは何か、どのような職種で貢献したいのか、自問自答しながら就活の軸を固めましょう。
>>【博士の自己分析方法】内定者が使ったおススメのツールも紹介!
その際、就活イベント等に参加しながら業界を俯瞰し、自分が活躍できる、あるいは自分の理想の生き方・働き方がかなう業界や企業を探しましょう。
その際は上述の通り自分の専門にこだわらず、強みや専門性を広く捉え、企業選びの選択肢を増やしていくことを強くすすめます。
>>【大手メーカー研究職が解説】研究職内定者が行った業界・企業分析の方法7選
人を頼りまくる
周囲に頼れない人はどうしても就活では不利になりがちなので、ぜひとも積極的に人を頼ることをおススメします。
ただ、身近な後輩に頼るのに気が引ける気持ちもよくわかります。
学会要旨や論文、学振申請書を通してきた自負がある、研究で指導している手前、後輩にダサい姿を見せたくないなど、プライドが邪魔することもあるでしょう。
ちっぽけなプライドだと頭ではわかっていても、後輩に弱みを見せることはなかなか難しいんですよね…
そんなひとは、大学のキャリアサポートセンターや民間の就職エージェントサービスを使うのもアリです。
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身近なところに相談できる人がいない博士学生はエージェントを活用して粛々とES・面接対策を進めるのもアリかと思います。
>>複数併用すべし!エージェントを使って就活を成功させる5つのコツ
便利な就活サービスを活用する
繰り返しになりますが、博士は就活にかけられる時間が限られているため、時間対効率を高めることが重要になります。
タイムパフォーマンスを上げられる便利な就活サービスはぜひとも積極的活用していきたいところです。
ただ、世の中には就活サービスはたくさんあり、中には博士学生が使ってもあまり意味のないものあります。
博士学生にとって効果の高いサービスを見極めて、効率的に就活準備を進めましょう。
下の記事では、私が修士と博士の両方で就活を行った経験から、博士にとって費用対効果の高い厳選したサービスを用途ごとにまとめています。
どれを使えばいいかわからん、って人は参考にしてみて下さい。
>>理系の修士・博士学生におススメする就活サービスを8つの用途別に紹介!
まとめ
この記事では博士の就活が失敗する原因と、失敗しないために特に気を付けるべきことをお話ししてきました。
最後にまとめます。
以上になります。
この記事が悩める博士にとって少しでも役に立てば幸いです。
就活ガンバってください!
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